心臓カテーテル検査

(1)酸素飽和度測定:先天性心疾患で短絡を伴う場合
方法:静脈にカテーテルを挿入し上大静脈または下大静脈から右房、右室、肺動脈へ進めながら、それぞれの場所で血液を採取して血中酸素飽和度を調べる。
右房でステップアップ:心房中隔欠損症
右室でステップアップ:心室中隔欠損症
肺動脈でステップアップ:動脈管開存症状

(2)心臓内圧
適応:心不全を疑うときに心腔内の圧により心機能を推測する。
スワンガンツカテーテル
測定圧:右房圧、右室圧、肺動脈圧、肺動脈機楔入圧(左房圧に相当)
左房圧は、左室拡張終期圧を反映しているので、直接左室内の圧を測定しなくても左心不全の推測に役立つ
肺動脈楔入圧の正常値:8-12mmHg
18mmHgを超えると左心不全、肺うっ血、循環血液量の増加を疑う(心筋梗塞の心機能の指標にフォレスターの分類:Forrester’s subsetがある)

(3)心拍出量
スワンガンツカテーテル:熱希釈法で行われている
心機能の測定の中で心拍出量を知ることは、心不全を疑ったときに重要である。
•心拍出量を体表面積で割った値を心係数(CI ; cardiac index)としている
•フォレスター分類でCIが2.2ℓ/分/m2以下になると心拍出量がいちじるしく減少している心不全状態と判断する

(4)血管造影
a. 肺動脈造影:適応は肺動脈塞栓や短絡のある先天性心疾患
b. 冠動脈造影:適応は冠動脈に狭窄や閉塞を疑う虚血性心疾患
•冠動脈の狭窄度は25, 50, 75, 90, 99, 100%の6段階で表示される。
•血流が障害されるのは75%狭窄以上であるが、心筋梗塞は50%以下の狭窄部位でもプラークの崩壊により発症することがある。
•PCI: balloonで拡張後、ステントを留置。最近では再狭窄防止のため、細胞増生を抑制する薬剤をしみ込ませたステントであるDES(Drug Eluting Stent;薬物溶出ステント)が使われるようになってきた。
c.左室造影:左室の収縮能を判定するために、カテーテルを動脈から挿入し大動脈を逆行し、大動脈弁から左室に進ませる。その後に左室造影を行う。
•左室造影の所見は、左前斜位、右前斜位でそれぞれの左室の陰影の周囲に番号が振られている。その番号で壁の動きが悪い部位を特定できる。
•収縮期と拡張期の壁をトレースすることにより、左室駆出率を算出できる。