心臓の構造と機能

心臓の構造
1 心臓の構造
 4つの部屋:左房(左心房)•右房(右心房)、左室(左心室)•右室(右心室)
 仕切り:心房中隔、心室中隔
 つながっている血管:大動脈、肺動脈、肺静脈、大静脈(上大静脈、下大静脈)
 血液の逆流(部屋と部屋、部屋と血管)を防ぐ弁:大動脈弁、肺動脈弁、僧帽弁、三尖弁
 冠動脈(心筋に酸素と栄養を与えている):右冠動脈、左冠動脈(前下行枝、回旋枝)
 
2 心筋細胞:Ca2+チャネル、筋小胞体、アクチン•ミオシンフィラメント

3 心臓の自動性と刺激伝導系
心臓は体外に取り出しても拍動し続ける!これを心臓の自動能という。
興奮をつくりだす部位(ペースメーカー)➡洞房結節
刺激伝導系:洞房結節➡房室結節➡ヒス束➡左脚•右脚➡プルキンエ線維
(この経路を刺激が伝わった時、伝導速度が高速)

•房室結節の伝導は遅く、ここを通り抜けるのに0.12~0.2秒ほどのずれが生じる。
➡心房が心室に先立って収縮することは、心房内の血液を心室へと送り出すのを助けている
•正常な心臓は、洞房結節で1回活動電位が発生するたびに一度拍動する。
•洞房結節の細胞が興奮できなくなると、刺激伝導系のほかの細胞がペースメーカーとなって興奮を発生する(潜在的ペースメーカー)

4 心臓の神経支配
心臓は自律神経(交感神経•副交感神経)の支配を受けている。
•ノルアドレナリン(心臓交感神経から放出)➡①洞房結節の興奮頻度を増し、心拍を速くする。②心筋細胞の収縮力を強め、1回拍出量を増大させる。
•アドレナリン(副腎髄質から分泌)➡ノルアドレナリンと同様の作用をもつ。
•アセチルコリン(心臓迷走神経から分泌)➡洞房結節のほ興奮頻度を低くし、心拍を遅くする。②心筋細胞の収縮力を弱め、1回拍出量を減少させる。

5 ポンプとしての心臓
拡張期+収縮期:拡張期に満たされた血液を収縮期に送り出して、ポンプとしての機能を果たしている。1分間に60~70回繰り返される。

心周期

心周期2

心周期:心房収縮期➡等容性収縮期➡駆出期➡等容性拡張期➡流入期
•等容性:僧帽弁も大動脈弁も閉鎖している状態
•第I心音:僧帽弁が押されて閉鎖する音
•第II心音:大動脈弁、肺動脈弁の閉鎖する音

心房収縮期
•左房が収縮
•僧帽弁を通って血液が左房➡左室に送り込まれる。
•僧帽弁は開いている。大動脈弁は閉鎖

等容性収縮期
•第I心音で開始(僧帽弁が押されて閉鎖する音)
•僧帽弁も大動脈弁も閉鎖している状態
•左室容積は変化しない
•左室圧は上昇する

駆出期
•大動脈弁が開いて開始(左室圧>大動脈圧)
•左室に充満した血液が大動脈に押し出される
•左室圧<大動脈圧になってもしばらくの間は血流の勢いによって大動脈弁は開いたまま
•血流が遅くなってくると、大動脈弁は閉鎖(駆出期の終わり)
•大動脈弁、肺動脈弁の閉鎖が第II心音

等容性弛緩期
•心室が弛緩するに従って左室圧は低下
•大動脈弁、僧帽弁ともに閉じており、左室容積は変化しない

流入期
左室内圧<左房内圧➡僧帽弁が開く(流入期の始まり)
左房から左室に血液が流入する。

注意:心臓の弁は自分で動くのではなく、圧力差に押されて開閉する。

心周期中の大動脈圧、左室圧、左房圧および左室容積の変化はいつでも書けるようにすること!

•1回の心周期で駆出される1回拍出量は60~70ml
•心拍出量:1分間あたりおよそ4~5ℓ
•大動脈圧は駆出期に最も高くなる(最高血圧または収縮期血圧)
•大動脈圧は等容性弛緩期から流入期にかけて最も低くなる(最低血圧または拡張期血圧)
•臨床的に測定する上腕動脈の血圧は、大動脈血圧を反映している。