本日「聖マリアハートクリニック」に大人の手足口病についての電話相談がありました。この機会にまとめてみました。

どういう病気か?

「手足口病」は、コクサッキーウイルスの一種が原因となって発症するウイルス性疾患で、手足や口の周りに水泡状の湿疹が現れます。

症状は?

    <初期>
    •発熱:微熱程度が多いですが、40℃近くの高熱が出るケースも約30%程度あります。
    •のどの痛み
    <中期症状> •口の内部や脚部の裏面に2-3mm程度の水ぶくれができます。歩くことや食べることが困難になる場合があります。 •だるさ •頭痛:頭痛がひどい場合は、髄膜炎の疑いもあり、注意が必要です。 •悪寒 •筋肉痛のような痛み •爪がはがれる:発疹、かゆみの症状が始まり、1〜2ヶ月後に爪がはがれることもあります。

流行の時期は?

手足口病のウイルスには湿気や高温に強いという特徴があるので、流行するのは夏場が多く、夏の始まりとともに発生し、7月の終わりごろにピークを迎えます。初期症状が風邪に似ているため夏かぜと間違えられやすくなっています。

原因ウイルスは?

•腸管ウイルスであるコクサッキーA群16とその変異型
•エンテロウイルス71
•まれにコクサッキーA群5、7、8、10、コクサッキーB群2と3、エコーウイルスの感染
 ※原因ウイルスが数種類あるので再発はあります

感染経路は?

•鼻汁•唾液(飛沫感染)、便(経口感染)から感染します。

    大人の手足口病の感染事例としては、家や保育施設でのオムツ交換の際、ウイルスが含まれた便に接触したために感染するケースが多いので、オムツ交換や排泄物処理を行った後には、必ず石鹸でよく手を洗うようにしてください。

潜伏期間は?

3日から7日

ウイルスの排出は何日くらい続くの?

発症後は、鼻水や便から2〜5週間かけてウイルスが排出されます。
治ったと思っても油断せず、引き続き手洗い・うがいを欠かさないようにしましょう。

症状は何日くらい続くの?

•発症した後は1週間から10日ほどかけて自然に治癒します。
•急性髄膜炎による急性脳炎を引き起こすことがあり、乳児の場合は死亡するケースもあります。

大人もかかるの?

手足口病は乳幼児に多くみられる病気で、感染報告数の90%以上は5歳以下の子どもです。
しかし、最近では大人に感染するケースも増えてきており、大人に感染した場合は症状が重くなる傾向があります。

予防は?

マスクの装着、手洗い、うがいを欠かさずに行うことが重要です。

検査は?

手や足の水疱性発疹や口腔内の水疱などの臨床症状で判断します。
通常、特別な検査は行いませんが、必要に応じて初期の咽頭ぬぐい液、糞便からウイルスを分離したり、血清抗体価を測定したりします。

治療は?

大人の手足口病には、これといった治療薬が存在しません。
予防のワクチンもありません。
特に治療薬がないため、発熱した場合は解熱剤、痒みがひどい場合は痒み止めというように、症状を緩和する対症療法が中心となります。

<口内炎の治療>
•イソジンなどのうがい薬で頻繁にうがいをするのが効果的です。
•口内炎用の軟膏もあります。症状が重い場合には有効です。

<手足の痒み>
•発疹がかゆみを伴う場合は、抗ヒスタミン剤の軟膏を外用します。
•抗ヒスタミン剤を内服する方法も有効です。

<水疱>
•軟膏を患部に塗布します。

<発熱>
•高熱でぐったりする場合は、解熱・鎮痛剤が効果的です。
•水やぬるま湯につかり、体の熱を冷ます方法も有効です。

<脱水>
•脱水症がひどい時は輸液をすることもあります。

<下痢>
•下痢に対しては、ビオフェルミン等など整腸剤の根気強い服用。